木彫り細工がプロ級の腕 
矢野忠司さん

趣味で野鳥の木彫り制作をされている兵庫県在住の矢野さん。
精密な木彫り、彩色で、その仕上がりはまるで今にも飛び立ちそうな本物の鳥のようです!
また、本物のような生命感あふれる作品とは別に、どんなインテリアにも馴染むように可愛らしくアレンジした作品もお得意です。

◆木彫りを始めたきっかけ◆

“定年を迎えてこれから何をやろうか、時間は十分にある、だが無駄な時間は過ごしたくない”と考えていた時に趣味の作品展示会場を覗きに行き、そこでこの鳥の木彫り「バード・カービング」に出会いました。
「凄い!これだけの作品が出来るものなのか」と感動し、即時教室への入会をお願いし、そこからこのバード・カービングに取り組むことになりました。
バード・カービングは、19世紀頃の米国でカモなどの野鳥をおびき寄せるための木製のおとりが起源であり、日本でも何十年も前に紹介されて、より繊細に精巧に鳥の質感にこだわるようになったそうです。

◆こんなふうに活動しています◆

教室は月に2回で、最初は1羽仕上げるのに数か月かかりました。自宅にいてもひたすら制作に没頭し、基本を学んでからは2か月程で1羽のペースで制作できるようになりました。
すべての鳥が制作の対象になり、鳥図鑑に載っている写真が一番大事な見本になります。大きさはすべて実物大で、細部までこだわって仕上げることで本物の迫力が出ます。小さな鳥(メジロ・スズメ)、大きな鳥(ツグミ・ヤマセミ・アジサシ)それぞれの体型を材料の角材にトレースし、その線に沿って丸みが出るように電動研削機(グラインダー)を使用し、荒削り、仕上げ削りをして、さらに焼きゴテ等で工夫を凝らして制作しています。これが、いかに鳥の質感が出せるのかに関わる一番大事な工程です。
仕上げはアクリル絵具で色付けをしますが、自然の色を出すのがまた一苦労です。

◆活動での喜び◆

矢野さんが教室に参加するようになった当時は、講師と生徒4人の教室でした。もっと仲間を増やそう!と思い、そのためには教室の存在を認識してもらうことが必要、ならば展示会を開催しよう、ということになり、そのための展示作品を充実させよう!と意気込んだのですが、実際は講師の作品にお世話になりました。そして数年の間に展示会を繰り返し開催し、関心を寄せてくれる人が増えました。
今は生徒数15人、矢野さん自身も基本指導ができるようになりました。
講師・生徒それぞれが数点の作品を持ち寄る全員参加の展示会、会場が生きているかのような鳥で埋め尽くされます。そして会場を訪れた人が「ワ~ッ!」と感嘆の声をあげ喜んでくれ、室内でバード・ウォッチングを楽しんでもらえます。その様子と、それを見る仲間たちの笑顔、どちらも矢野さんの力のみなもとになっています。

 

~本当に生きているかのような精巧な鳥!初めて見るとこれが手作りの木彫りの作品だということに本当に驚きます。これを仕上げるためにはやはり多くの時間、手間暇、そして工夫と情熱が必要なのですね。
自分の作品が誰かの心に「すごい!」という感動を残せたらそれが大きな喜びだとおっしゃる矢野さんですが、作品を見た方はきっと皆その感動を感じていますね!