22.自宅で死ぬという選択をするためのガイド②

要介護認定を受けるには

 

では次に具体的に介護をはじめるときの話をしよう。65歳になると介護保険の加入者として「介護保険被保険者証」が交付されるがこれだけは介護サービスを受けることはできない。医療保険や介護保険を使って在宅ケアを受けるには「要介護認定」を受ける必要がある。認定は本人が住んでいる市町村の窓口で受け付けられる(窓口の名称はエリアによって違うので調べよう)。申請は原則、本人または家族であるが、居宅介護事業者や地域包括支援センターで代行申請もしてもらえる。

 

要介護認定には2回の判定がある。市町村に申し込むと1次判定(担当者による聞き取りと「主治医意見書」による)。2次判定では1次判定の結果をもとに介護認定審議会が審査を行い、「要介護度」を判定する。これによって「どのような介護が、どの程度必要か」が決められる。申請から30日以内に認定結果と介護保険被保険者証が郵送される。

 

認定の結果は「要支援1~2」「要介護1~5」「非該当(自立)」の3種類。介護保険サービスを受けるときはこの要介護認定の区分により給付の限度額が決まる。令和元年(2019年)の支給限度額は以下のとおり(地域、受けるサービスによって変わる場合あり)。

 

要支援1 5万320円

要支援2 10万5310円

要介護1 16万7650円

要介護2 19万7050円

要介護3 27万480円

要介護4 30万9380円

要介護5 36万2170円

 

要介護度のイメージとは

 

要介護度別の定義は特にないようだが、イメージとしては次のようなものである。

 

要支援1 日常生活はほぼ自分で行える。支援を受けることで要介護状態になることを予防できる。

要支援2 要支援1よりも立ち上がりや歩行などの運動機能に若干の低下がみられる。

要介護1 自分の身の回りのことはほぼできるが、部分的に介護が必要な状態。

要介護2 日常生活能力や理解力が低下し、身の回りのことについても介護が必要な状態。

要介護3 食事や排せつなどが自分でできなくなり、ほぼ全面的に介護が必要とされる状態。

要介護4 要介護3よりも動作能力が低下し、日常生活全般に介護が必要な状態。

要介護5 要介護状態においてもっとも重度で、あらゆる場面で介護が必要となり意思の疎通も困難な状態。

 

この要介護度に応じて医療保険や介護保険を使って介護サービスを受けることができるのだが、そのためには「ケアプラン」というものをつくる必要がある。ケアプランは自分でもつくることは可能だが、制度に関する知識が必要なので通常は専門家に依頼する。「要支援」の場合は「地域包括センター」、「要介護」の場合はケアマネジャーのいる居宅介護支援事業者がその依頼先になる。

 

このとき納得できるケアプランをつくるためには、しっかり本人の意向や介護者の意見や希望をまとめておくことがたいせつである(「8.自宅で死ぬための『患者力』をつける」、「10.良い訪問看護ステーションの選び方」参照)。

 

介護生活は長くなることもあるので、その状況によって受ける介護サービスも変えていけばよい。

 

いちばんたいせつなのは本人とその家族がどんな死を迎えたいかである。それをいっしょにかなえてくれる訪問看護ステーションや医師に巡り合うためには「選ぶ目」を持っておきたい。

 

自宅で死ぬということ- 著:小阿羅 虎坊(こあら・こぼ)

※「自宅で死ぬということ」は第2・4金曜日に更新します。
次回は4月10日にお届けしますのでお楽しみに。